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2018年12月14日
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賃貸物件の入居者に課される『善良な管理者の注意義務(善管注意義務)』とは?責任を問われないために入居者がするべきこと

『善良な管理者の注意義務(善管注意義務)』

 

この言葉、あまり聞き慣れない方が多いかもしれませんが、様々な場面で使われる法律用語で、民法の条文にもたびたび登場する文言です。

 

不動産に関連するところでは、一般的な賃貸借契約書には必ず記載されているもので、アパート、マンション、戸建て貸家など、賃貸物件に入居中の全ての方にこの注意義務が課せられていると考えてもらって良いかと思います。

賃貸契約における『善良な管理者の注意義務(善管注意義務)』とは?

デジタル大辞泉で『善管注意義務』を調べてみると、以下のように出てきました。

 

『《「善良な管理者の注意義務」の略》業務を委任された人の職業や専門家としての能力、社会的地位などから考えて通常期待される注意義務のこと。注意義務を怠り、履行遅滞・不完全履行・履行不能などに至る場合は民法上過失があると見なされ、状況に応じて損害賠償や契約解除などが可能となる。』

 

なんだか難しくてわかりづらいですね。

民法で用いられる注意義務には『善良な管理者の注意義務』のほかに、これより責任の軽い『自己のためにするのと同一の注意』というものがあり、これは対象物を自分のものを扱うのと同じように扱いなさいという意味です。

本来の意味とは少しズレるかもしれませんが、わかりやすくするために、

 

『自己のためにするのと同一の注意』 = 自分のものを扱うのと同じように扱う義務

 

これより重たい義務なので

 

『善良な管理者の注意義務』 ≒ 自分のものを扱う以上に大切に扱わなければいけない義務

 

と考えると、わかりやすいかもしれません。

 

これを賃貸契約で求められる善管注意義務に当てはめると、

 

『お部屋は大家さんから借りているものなのだから、自分のものを扱う以上に大切にお部屋を使ってくださいね。これを怠ると損害賠償や契約解除を請求する場合がありますよ。』

 

といった具合でしょうか。

入居者の皆さんにはこのような責任が課されていると思ってください。

義務違反による入居者の責任が問われるのはこんなとき

それでは、この『善良な管理者の注意義務』が課せられている賃貸物件の入居者は、どのようなことに気を付けなければいけないのでしょうか。ひとつ具体例を挙げてみます。

 

例えば、入居中のお部屋の湿気がひどく、壁面に結露が発生している場合、すぐに大家さんや管理会社に言えば、結露が発生しづらい上手なお部屋の使い方をアドバイスしてくれたり、簡単な断熱工事で解消できるかもしれませんが、それを退去するまで数年間放置したことによって、壁や床にカビが広がったり、フローリングや下地の木材まで腐ってしまった。なんてことがあると、すぐに報告をしなかった入居者の責任が問われる可能性があります。『すぐに報告してもらえれば5万円の工事で済んだのに、報告してくれなかったために、退去時に広範囲の工事が必要になってしまい、20万円もの工事費がかかったから、差額の15万円を支払ってください。』なんてことにもなりかねません。

 

入居中は大家さんや管理会社が室内を点検することはできませんので、入居者が室内の管理者となり、不具合等を発見したときには大家さんや管理会社に報告をする義務があるということになります。

 

また、この例のように退去時に発覚することが多いため、退去後に原状回復費用を請求されたり、戻ってくると思っていた敷金が戻ってこなかったりと、お引越しにかかる費用とのダブルパンチになってしまうこともしばしば。そんなことにならないように入居中から気を付けましょう。

誰にでも同じ水準が求められるわけではない

善良な管理者の注意義務は、義務を課された者の職業や専門家としての能力によって求められる程度に違いがあるということも覚えておきましょう。

 

入居者が建築や設備関係の法人のように、建物の専門知識を有している場合であれば、より高度な水準を求められる可能性がありますが、一般の入居者の場合には、誰もが知っていること、誰もができること、誰もが予測できることは当然に行ってくださいということになります。

専門家でなければ分からないような高度な水準までは求められませんので、そこは安心してください。

 

ただ、例として挙げた結露の話のように、結露を長期間放置すると、カビが発生したり、フローリングや木材が腐ったりしてしまうことは誰もが予測できることと考えられます。『こんなことになるとは思わなかった。』とか、『悪意はなかった。』といった言い訳は通用しません。(結露の解消についてはこちらのブログも参考に御覧ください⇒結露が解消されない。賃貸暮らしの方は、もしかしてアレを忘れていませんか?

 

特にこの時期、寒冷地では水落とし(水抜き)にも注意が必要です。

天気予報で氷点下まで気温が下がることがわかった場合や、冬季間に長期で留守にする場合など、水落としをしなければ、配管が凍結し漏水被害が発生するのは誰もが予見できることと考えられますから、入居者自身で予見し、水落しを行う義務があります。破裂した配管はもちろん、建物自体や他室に被害が及ぶと賠償額も高額になりますので、十分注意してください。(水落としについてはこちらのブログも参考に御覧ください⇒「水抜き」「水落とし」の方法を再確認しておきましょう!

義務違反を問われないために

それでは、善管注意義務違反を問われないためには、どのようなことに気をつけたら良いのでしょうか。

 

・なによりお部屋を大切に使う気持ちが大事です。せっかく縁あって巡り合ったお部屋ですから、退去の日まで大切に使ってあげましょう

 

・過度に神経質になる必要はありませんが、日頃からお部屋の状態を気にかけましょう。もしかすると、ちょっとした異変に早く気付くことで、回避できることもあるかもしれません。

 

・クローゼット内や家具家電の裏など、普段見えない部分の確認も重要です。知らないうちにカビの温床になっていたということも多いので、定期的にチェックしておきましょう。湿気対策には換気の仕方や室温調整など住まい方も大きく影響します。

 

・給排水のトラブルも多く見られます。排水口の掃除や冬季の水落とし(水抜き)など漏水事故の原因となるような事態は未然に防ぎましょう。中にはお風呂のお湯を出しっぱなしで外出してしまったり、洗濯機の排水ホースが外れていたために漏水事故が起きてしまった事例もあります。

 

・気付いたことがあったら早めに大家さんや管理会社に連絡しましょう。入居者が連絡したにも関わらず、大家さんや管理会社が対応しなかったという場合には、入居者の責任は問われません。心配な場合にはまず連絡を入れて状況を伝えることが大切です。

 

入居者自身で対処できることはご自身で、対処できないことは大家さんや管理会社を頼ってください。

この記事を書いた人
道下 仁志 ミチシタ サトシ
道下 仁志
親切・丁寧をモットーに、お部屋探しからご契約まで、お客様とオーナー様とのご縁を取り持つお手伝いをさせていただきます。
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